村上春樹『アフターダーク』異論2 | 異論な人々

村上春樹『アフターダーク』異論2

村上春樹『アフターダーク』異論で、以下のようなコメントをもらいました。ありがとう。
コメント、引用します。


■ シリアル
はじめに。

大絶賛派です。
一気に読み終えてすぐ書きました。


普段私たちは、睡眠を一日の区切り(壁)として、「今日」と「明日」を切りわけて過ごしがちです。しかし、ひとたび徹夜をしてみれば、今日と明日の区切りなんてどこにあったのか、さらに、または、本当にその区切りが存在したのかさえ、よくわかりません。

眠らずに起きていれば、いつのまにか明日になっている。
今日と明日は、あいまいにつながっている。

つながるってのは、えーと、たくさんの孤島が橋でつながってるんじゃなく、シリアル。連続性。一本の線の上で、あたかもリレーしているかのように。

そして高橋君の犯罪者の話、暗い人明るい人という区切りの話、コオロギの話が、村上氏がこの本で伝えたかった事なんじゃないかな。自分とは一見かけはなれているようにみえる世界も、結局地続きであるという事。

繰り返しになりますが、ものごととものごと、人と人との区切りとは壁のように存在するわけでなく、今日と明日の境のように、あいまいなものであると。
その意味を強調する目的で、深夜が舞台になっているんじゃないかなと思います。
(眠っている間になにかが起こっているよという意味でなく)

そんななかで眠り続ける姉は、「あいまいな区切り」ではなく、「区切りのないもの」としての象徴だと思いました。

そしてあの、謎カメラ。「大砲の街」失敗?
そんなわけないか。

長々と失礼しました。
さらに、つたない文章ですみません。
マスオ (2004-11-07 01:22:18)


シリアルってキーで読む、おもしろい。
もう1度読みたくなってきました。

ぼくの最初に読んだときの感想は、

ベストセラー本ゲーム化会議:アフターダーク編

mixi(なので読めないかも)のココで

援護派でがんばってます(^_^;)。

mixiのほーは一部の人しか読めないので、自分の発言の一部を抜粋。

>米光さんはこの小説を交換可能じゃない人生があるんだよってことを書いたという点で評価してるみたいですけど、その主張自体がいろんな作品ですでに“消費”されてるわけですから、それを評価軸にもっていくと、いささか論点として弱いとも感じました。

に関しては、2点。

1つは、自分が交換可能な平凡な存在じゃないかという不安を感じている人は、まだいるし、そう思わせるような社会でもある、と、感じます。
とするなら、いくら過去にいろんな作品で主張されていたとしても、
また別の角度から考えてみること、および考えてみるきっかけになる小説が作られることは必要じゃないだろうか、消費してはいけないのじゃないか、と思います。

また、テレビが人や事件を“消費”するように報道することや、ファミレスなどが大量生産品や人を“消費”していくことをシンボルとして、
われわれも共犯者となるような視点で、
でも、そうじゃないんだ、ということを描いた
という意味では、ぼくは、これがそんなに「すでに“消費”」されたものだとは思えないんだけどなー。

というか、
>その主張自体がいろんな作品ですでに“消費”
というような評論的な消費のしかた(こういう作品が「ある」を「あった」に変換して、翌月はまた新しい作品を「あった」に変えて、次々と交換可能なものに押し流していく消費のしかた)こそがイヤーンといってるような物語に読めたので、おもしろいなーと思ったのでした。

って感じで、
だから、
>謎カメラ
は、「テレビが人や事件を“消費”するように報道すること」側に読者を立たせようとしたんじゃないかなー、とか。
それは、姉がテレビの中に入ってしまいそうになるところとリンクしていて。

「交換可能じゃない自分」みたいな視点で読んでも、シリアルというキーワードで読んでいっても、同じところに辿り着けるような気がします。
いろんな読み方ができて、でも、パズルのピースはそろってて、ずっと奥のほうまで進めば同じところに辿り着くような本だと思う。

って、言葉足らずで、つたない文章になってしまたーー。